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院長コラム

COLUMN

あなたにとって「いのち」とはなんですか?

2025年7月23日

みなさんこんにちは。こんのクリニックの星野です。
私にはやんちゃな2人の男の子がいるのですが、毎晩絵本の読み聞かせをしております。

最近読みきかせした本の中で、日野原先生の書かれた「いのち」についてのお話の本がありました。1)

日野原先生は105歳で亡くなるまで、聖路加病院で現役の医師でした。 まず同業者としても先輩としても尊敬すべきところですし、そこまでお元気に生活されていたこと自体が奇跡的とも言えます。 
先生は本の中の最後で「いのちとは何か、それはあなたのもっている時間そのものです」と締めくくっています。 いのちは誰でも限りがあります。 どんなに健康で元気な人でも、徐々に体が衰えてきます。
具体的な例でいうと、腎機能があげられます。 腎臓は体に蓄積された毒物(代謝物など)を排泄して尿にして流し、体を維持しています。 この腎臓の機能を表すGFRという値が重要なのですが、加齢とともに低下していきます。2)
60ml/m以下で腎不全と診断され、1年間に0.5-1.0ほど低下し5以下で透析が必要と言われています。

最終的には致命的になります。ところが腎不全の進行は様々で(赤矢印…はやい、 青矢印…中くらい、 黄色矢印…とても遅い)進行が遅ければ、場合によっては腎不全がない方に生存率で追いつくかもしれません。

進行を遅らせるには、糖尿病や高血圧、喫煙などのリスクを避けることが重要です。3)
つまり人それぞれ気を付けていれば、状況を変えられるのです。 状況が悪くても決してあきらめず、希望をもって日々健康に心掛けて下さい。同時に、楽しく毎日過ごすことも大事です。 
最後に、日野原先生がNHKのテレビに出演した時のことが思い出されます。 「私は普段好きな食べ物を食べ過ぎないように我慢する。でも自分の好きな会では楽しく食べるよ」と話していたことが印象的です。 
これまで私は仕事上、癌で亡くなる方を多く見てきましたが「自分の人生にもう悔いはない」と言って亡くなる方は一人もいませんでした。 在宅診療で100歳近くで老衰で亡くなった方達もそうです。救急外来の交通外傷で体がまだ温かいまま亡くなった方はなおさらそうでした。そんな臨床現場で私が感じるのは、どんな人でも死を目前にしても、これで自分の人生を大満足に終わりにできます…という人はいない。つまり人は、どんな状況でも懸命に生きたいのではないかと思います。
いのちが与えられるのは1回限りです。あなたの持っている今の時間を大事にして、悔いのないように精一杯生きていきましょう。

1)日野原重明 いのちのおはなし 講談社 2007年 
2)日本人の年齢別推算糸球体濾過量(eGFR)の検討 ~協会けんぽ東京支部76万人の健診データから~ 渋谷区医師会・望星新宿南口クリニック 院長 高橋 俊雅 ら
3)蛋白尿からみたIgA腎症と慢性腎臓病 JCHOメディカルセンター ホームぺージより
 

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